行政機関で働く管理栄養士の役割
はじめに
栄養士・管理栄養士と一言で言っても、働き方は本当に様々。
私たち栄養士が活躍する場は、病院や高齢者施設などの福祉施設、学校の給食センター、食品メーカーでの商品開発、アスリートの栄養管理など数多くあります。
今回は、様々な働き方がある中、「行政機関で働く管理栄養士」についてご紹介したいと思います。
行政栄養士の働き
行政栄養士は、都道府県や市町村などの自治体、または保健所や保健センターなどで公務員として勤務します。
地域住民への食と栄養による健康増進が私たちの主な目的ですが、働く場所によって目標や業務内容は様々です。
私の働く地方自治体では、母子と成人・高齢者とで担当を分け、2人の管理栄養士で地域住民の健康づくりを支えています。
では、私の担当する母子保健に関する業務内容をみてみましょう♪
仕事内容
主な業務
- 妊産婦への健康教育(マタニティークッキングや産前産後の食事についての講習会など)
- 乳幼児集団健診での栄養相談
- 離乳食講習会講師
- 子育て支援センターでの食事相談会
- 保育所給食の献立作成
- 給食食材の発注書作成
- 保育所での食育・食物アレルギー・衛生管理指導
- 食育に関する講演会講師
など
それぞれ小児科医、保健師、歯科衛生士、保育士、調理師と多くの専門職との連携で成り立っています。
保健師による乳児全戸家庭訪問(赤ちゃん訪問)や乳幼児健診、虫歯があるといった栄養指導が必要なケースと各種専門スタッフが判断すると私たちの出番です。丁寧に話を聞き、一緒に問題の解決方法を考えます。
もちろん、住民からの相談にも丁寧にお答えし、時には家庭に訪問させてもらい個別に対応もします。
つまり、
地域で1番身近な栄養士
ということになります♪
保育所給食の献立は、栄養士が作成しますが、すべての保育所の代表調理師が集まって「献立検討会」を実施します。適正量や栄養面だけではなく、大量調理をする上で可能な献立であるか、子ども達が食べやすい工夫がしてあるかなどを判断します。
日頃から食べる様子を見ている調理師の意見は、子ども達が「食べるって楽しい!」と感じられる給食に仕上げていくためには欠かせないので、献立に大きく反映します。
このように、多くの専門職と連携して乳幼児期から正しい食の知識を発信し、子ども達の健やかな発育と発達をサポートしていきます。
大変なこと・やりがい
私たち行政栄養士は、疾病の発生を未然に防ぎ、健康増進を目指す「一次予防」と呼ばれる段階での業務になります。
簡単にいうと、住民が抱える食や健康の問題を解決するために、食生活習慣の改善方法の提案、健康教育教室の開催などがあげられます。
つまり、対象者はまだ健康な状態なので、危機意識が低いため、すでに疾病のある方への栄養指導よりも行動変容の難易度が上がります。
でも、この行動変容の難しさは、やりがいでもあります。
たとえ、相談者がどんなにひどい食生活を送っていても、
「この食生活を続けていたら肥満になって、将来的には生活習慣病ですよ」
なんていきなり正論を言われるより、
「体重がぐんっと増えちゃったね。でも、お菓子ってやめられないよね~。」
と気持ちを共感することで、こちらの話に耳を傾けてくれるようになります。
様々なケースの栄養指導・相談へのアプローチ後の、
「あれからジュースを買わなくなりました。子どもは欲しいって泣きますけどね。でも、ジュースを与えてご機嫌とってもこの子のためにはならないですもんね!」
「こないだ教えてもらった方法をやってみたらトマトを食べるようになりました!今まで食べないことを叱ってばかりだったけど、褒めることでこんなに効果があるなんて知らなかった。」
といったお母さん達の笑顔での意識改善報告は、また頑張ろう!と思える瞬間です。
最後になりますが、行政栄養士は、健康教育教室などが多く、大勢の前で話すことができるのか不安に感じられる方もおられると思います。私も最初はすごく苦手でした(笑)
しかし、
インターネットで手軽に情報が得られる時代だからこそ、最新の正しい食・栄養の情報を発信していきたい!
子どものために頑張っているお母さんの役に立ちたい!
そんな気持ちがあれば、乗り越えられます。
あとは、経験が自信となり、堂々とお話できるようになりますよ♪
今回は、行政機関で働く管理栄養士についてご紹介しました!皆様の職選びの参考になれば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
おわりに(編集部より)
いかがでしたか?今回は行政栄養士として実際に働かれている管理栄養士さんからの記事をご紹介させていただきました。
地域の方の健康を心から考え支えてくれている、素敵な栄養士さん♪こんな素敵な栄養士さんが各地域にいたら、きっと地域住民は幸せですよね!
公務員栄養士という職業は知っていても、具体的に見聞きすることはなかなかないので、とても貴重なお仕事内容紹介記事になったことと思います。
今後益々全国の行政栄養士さんが活躍されることを願っています☆彡