病院管理栄養士の仕事【回復期リハビリテーション病院】

はじめに

こんにちは!

今回は病院管理栄養士の仕事についてお話ししたいと思います。

病院の管理栄養士と言っても、勤めている病院の診療科目や病床数、そして給食施設が直営なのか委託なのかなどによっても管理栄養士の業務内容は異なると思います。

今回は私の勤める「回復期リハビリテーション病院」での業務についてをご紹介します。

臨床部門に興味があり、病院に就職・転職しようと考えてる方などの参考になれば良いなと思います。

私の勤める回復期リハビリテーション病院は病床数が72床。給食施設は直営です。

系列の有老老人ホームと兼務しており、管理栄養士2名で2箇所の献立を作成しています。

昼食時は15食ほどデイケアを利用される方の分のお食事も提供しています。

管理栄養士の業務は患者さまの栄養状態を管理するだけではなく、食材や調理師など物や人など様々なことを管理する業務だと思います。

1日のスケジュール(食材発注日)

毎日同じ流れで業務を行っているわけではないですが、ある1日のおおまかな業務の流れを書き出してみました。

9:00  始業 前日の食事変更など伝票、変更指示確認や朝食の残食量チェック

9:10  野菜納品。検品・検収 在庫チェック

10:00  朝礼 昼食の大皿、小鉢の味見(必要なら修正指示)

    翌週使用分の食材発注(FAX、TEL)

11:00  汁物の味見 入院連絡があれば調理員に指示、食札作り 配膳チェック

11:30 デイケア食事提供 前月分の請求書

12:40 翌日分のデイケア利用者食札準備

    昼食残食量チェック 食事箋情報をPC入力(必要なら献立に指示書き)

13:30~14:30 昼食/休憩

14:30 栄養指導準備など

15:00 栄養指導 指導記録記入

15:50 病棟訪問

16:10 栄養管理計画書作成/モニタリング記録 夕食味見

17:30 日報作成 食数管理 患者管理システム入力

18:00 終業

1日の中で様々な業務を行いながら、実際は病棟や他のスタッフからの電話での問い合わせがあったり、食品を取り扱う業者さんと話をしたりと同時進行での作業がほとんどです。

具体的な業務内容

◎献立作成

直営の給食施設なので、献立作成は必須です。入院患者さんの年齢や喫食量、給与栄養量などを考慮し、バランスの良い献立を目指します。

年に数回、入院患者さんへ嗜好調査を行い、患者さんからご意見をいただき要望を反映したりします。

そして常食の献立をベースに

高血圧食や糖尿病食、腎臓疾患食など患者さんに合わせて特別食への展開をしていきます。

◎食材管理

献立を作成し、食材の使用量を計算したあとは在庫管理をして必要な食材を発注します。

調味料などを食品出納簿で管理し、毎月そのひと月に使った食材を管理して、使用金額を割り出し、患者さん1人当たりの給食材料費を算出します。

◎栄養指導

栄養指導は外来患者と入院患者どちらもありますが、私の勤める病院で入院患者さんへ退院前に栄養指導を行うことが多いです。

退院後、ご自宅に戻られてからの食事についての話なので、調理を担当するご家族に同席していただく事もあります。

入院中の血液データや喫食量、麻痺があるかなど身体の状態を頭に入れて具体的に食事でどのような事を意識しましょうと患者さんと一緒に考えていきます。

◎入院患者管理

入院している患者さんの栄養管理を行います。入院時に栄養状態のスクリーニングをし、栄養管理計画書の作成。入院中は継続的にモニタリングを実施し、様々な情報を元に栄養管理を行います。

◎各種、院内での役割

院内では他の専門職と同様にさまざまな委員会や係の役割を請け負います。

分かりやすいところだと

栄養管理委員会や、褥瘡委員会、感染予防対策委員会、運営委員会など。名称は各病院で異なるのでしょうが、管理栄養士として他の専門職と一緒にチームとなって病院の方針に従って患者さんの治療にあたります。

その他、リハビリの病院なので、言語聴覚士(ST)さんとのやりとりも多いです。

食事とは別に摂食訓練用の食事を用意したりします。

摂食訓練においてはSTと訓練食のエネルギーや患者さまの嗜好についてなど様々なことを相談しながら進めていきます。

このように、他の専門職の方々とのコミュニケーションを図ることは業務がスムーズに行えたり、医療事故を防げたりするので、とても大切なことだと思っています。

他職種から管理栄養士に期待・必要とされていることは

私はリハビリの病院にいるので、他の診療科目の病院ではまた違うかと思いますが、

ST(言語聴覚士)との連携が密で必須です。

ここでSTから栄養士に求められていることは

嚥下食への理解と知識です。

嚥下食とはどんな状態のものなのか、まずそこをある程度理解しておかないと自分の病院ではどのように対応できるのかを判断することができませんし、ST側に提案することもできません。

とろみの具合で薄いとろみ、中間のとろみ、濃いとろみはどの程度のものなのか。

それを理解して初めて汁物のとろみの具合の指示を調理師に出せると思います。

私も今の病院に勤めるまで、嚥下食の知識は全くなく

有り難いことに現在の職場のSTさん達は勉強熱心ですし親切に教えてくれるので、嚥下反射のどの部分に障害があるからどんなことに気をつけなければいけないかなど、やりながら勉強していきました。

ゴックンと飲み込むことが難しいのか、口の中で食塊を作るのが難しいのか、歯の状態は良いなかなど、沢山の知識を実際の患者さまを通して勉強させていただいています。

その他、ソーシャルワーカーの方には退院後に施設に行く場合、病院ではどのような食事を提供しており、施設側で対応できる程度の相談があったり、直接施設の方に説明をすることもあります。

看護師からは患者さまから食事についての要望があると、病室を訪問し食事について相談にのってくれませんか?などの依頼があったり、医師からは経管栄養剤についての相談をうけることがあります。

たんぱく質を強化したいや下痢が続いてるなどの相談をうけて、各種経管栄養剤の成分や特徴をお伝えすることがあります。

また、食事での水分量などの問い合わせもあります。

このように患者さまの食事に関することは何でも聞かれます。

専門職として食事に関する部分は頼ってもらえるので、嬉しく思います。

最後に

病院管理栄養士の業務は幅広い臨床栄養の知識や病態についてなど同時に給食経営管理もあるので、常に同時進行で様々な業務を行います。

その点では少し煩雑になりがちであったり、時間に追われてしまうこともありますが、患者さんから直接「美味しかったよ」や「入院中の食事が毎日楽しみでした」と言っていただけることはとても嬉しく、やりがいのある仕事だなと感じます。

管理栄養士として

患者様の治療の一貫として食事でフォローしていけることはとても誇りに思える仕事だ

と思うので、臨床栄養に興味のある方は、一度チャレンジしてみて欲しいです。

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