精神科で管理栄養士として働いて

栄養士・管理栄養士が活躍する場は多岐にわたりますが、今回はわたしが経験した精神科での管理栄養士の働き方についてご紹介したいと思います。

精神科管理栄養士として就職して

精神科ときくとどんなイメージでしょうか。

わたしが精神科への就職が決まった際、なかなか馴染みがなく、近寄りがたいイメージを持っていました。

「精神科ってどんな所なんだろう?」

「精神科の管理栄養士って何をするんだろう?」

と不安になったのを覚えています。

精神科で主に扱う疾患は、統合失調症、うつ病、認知症、アルコール依存症、薬物依存症などがあります。

私が勤めていた病院に入院されている方は、主に統合失調症と認知症が多かったです。

実際に働くことで、うつ病、認知症など、だれでもなりうる疾患を扱っており、市や周辺の施設などとの連携もとっていてとても身近な病院なんだなと感じました。

病院側も、地域に開かれた病院を目指していたので、相談所を開設していたり、病院主催のイベントを行ったり、地域の行事に職員が参加したりと、地域交流も積極的に行われていました。

管理栄養士としての仕事

では、そこで管理栄養士としてどんな仕事をしていたのかご紹介します。

管理栄養士の仕事は、おもに

「給食管理」と「栄養管理」です。

これはどの病院や施設でも共通していると思います。

「給食管理」では、直営の場合は献立作成、栄養計算、発注・検品、請求業務、衛生管理、調理補助、配膳チェック、食数食札の管理など給食にかかわるすべてを行いました。

委託が入っている場合は契約によりますが、献立のチェックや、配膳チェック、食数・食札の管理を主に行っていました。(在職中、直営から委託へ変わりました)

精神科では、糖尿病や高血圧、脂質異常症を合併している方もいらっしゃり、それに対する特別食が主でした。

高齢者や薬の影響で嚥下機能が低下している方も多く、食事形態は常食からミキサー食まで幅広く、個別対応していました。

「栄養管理」では患者の情報を集め、栄養管理計画書を作成・実施・評価し栄養状態の改善を行っていきます。

精神科において主な食事に関する問題点は、嚥下機能の低下や低栄養、褥瘡、肥満、糖尿病、脂質異常症などでした。

統合失調症や認知症の方は誤食・早食い・咀嚼不良などによる誤嚥や窒息のリスクがあり、食事環境の調整や食事形態には配慮が必要でした。

たとえば、

食器や椅子、テーブルの位置や高さを調整、食事に興味が継続してもてない方への声掛けや環境の調整、嚥下機能に合わせた水分のトロミ調整、咀嚼機能に合わせた食事形態の調整

などです。

その他 病院栄養士としての仕事

「給食管理」「栄養管理」のほかに、会議の運営や委員会活動もありました。

これは各病院や施設によって違うと思いますが、わたしが経験したのは

栄養管理会議、NST委員会、褥瘡委員会、感染対策委員会、施設管理委員会、情報管理委員会、広報委員会などでした。

管理栄養士がここにも参加するの?!とはじめは驚きましたが、栄養士は食事のことだけではなく、組織の一部であることを実感し広い視点を持つことができました。

日常業務の中ではなかなか関わらない部署の方とつながりができ、栄養部門以外の事を知ることができますし、横のつながりができることで業務もスムーズになります。

また、こんな業務も・・・ 

  • 病院開催のお祭りで栄養科から出店やステージ運営
  • 市から委託を受け、高齢者の介護予防事業で職に関する集団講義や個別指導
  • 院内、県内、全国の学会への参加や発表
  • 一度きりですが、地域のケーブルテレビに出演(笑)

管理栄養士には専門分野をさらに深められる認定制度や資格がありますが、精神科領域にも日本精神科医学会認定栄養士や認知症ケア専門士などを取得することができ、ステップアップも可能です。 

大変なこと、やりがいを感じたこと

入院時の食事の準備が大変でした。

入院の連絡がはいると、食事の準備のために情報収集にはしります。入院前はどんな食事を食べていたのか、現在食事を食べれる状態なのか、アレルギーなどはあるのか、歯の状態はどうなのか、食事形態はどうするのか・・・など。

誤嚥・窒息のリスク

があるため、特に食事の形態には気を配ります。

一方やりがいを感じたことは、

認知症が服薬管理などで落ち着き、

食事が自分でとれるようになり、自宅や施設などに退院されていくときです。

入れ歯の調整や口腔ケアの徹底、食事の時の姿勢や使う食器の検討、嚥下訓練などは栄養士1人ではできません

医師を中心に、看護師、介護士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士など、患者を囲むいろんな職種のスタッフと意見交換しながら、患者のQOLを少しでも高め、退院につながったときにはとてもやりがいを感じます。

まとめ

管理栄養士の活躍の場は多岐にわたり、いろんな働き方があります。

その一例として、私の経験を書かせていただきました。

管理栄養士の仕事が知りたい、精神科ではどんな仕事をしているの?実際に精神科に配属されたけどんなことをするのか不安…等などの方に少しでも参考になれば幸いです。

さいごに(編集部より)

いかがでしたか?精神科で働く管理栄養士さんからの体験談。病院栄養士といっても、本当に幅広く、配属される部署や、その病院自体の方針で全然違うのだなあと実感しました。

この分野でもさらなるステップアップが可能とのこと。どの分野に配属されたとしても、その道を極め、専門性を際立たせ、認められることで、さらに管理栄養士が重宝されるようになることを願います☆彡

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