地域食堂の立ち上げを一から行った栄養士さん

縁あって鹿児島県指宿市にて『地域食堂』を立ち上げた栄養士さんと知り合いお話しを聞く機会がありました。

一から地域食堂を立ち上げる原動力、活動力、熱い想いについて是非お聞きしたいと、

地域食堂を立ち上げるに至った経緯、現在の様子などについて書いていただきましたので、是非読んでくださいね。

はじめに

私は施設の栄養士をしています。

小さいころから食べることが大好きで、私たちの生活で一番身近な”食事”で、家族や周りの大切な人・自分自身の病気や不調を改善できるこの仕事にあこがれて栄養士になることを決めました。

みなさんはこども食堂・地域食堂についてどんなイメージを持っていますか?

この食堂は普通の飲食店とは異なり、営利を目的とせず、生活の支援が必要な方や一人暮らしの方など、特に家庭や学校など居場所が見つからず輪からはみ出てしまうこどもが安心して利用できるボランティア食堂です。その為、食事代は無料または低価格で提供します。

地域食堂を立ち上げようと思った経験・熱い想い

最初、こども食堂には無関心でした。

こども食堂のスタッフとして参加し始めたきっかけは、生後すぐに小腸の手術をした既往歴による初めての検査入院でした。腸の蠕動運動が弱く、栄養も十分に吸収できないため、色んな失調症を併発します。この経験から、

「食べることは生きることにつながる」

事を痛感し、普段何気なく食べている食事の大切さについて知ってもらいたいと思いました。

それから3年後、2021年5月のコロナ渦真っ只中に「地域食堂 りんごの樹」が発足。

現在もコロナの感染状況を見ながらではありますが、月に一回の頻度で食堂を開いています。色んな方々のサポート・人脈のおかげで実現し、継続して開催できていること、とても感謝しています。

困難だったこと・苦労したこと

 地域食堂りんごの樹では

  • 「食べることは生きること」
  • 「地産地消・フードロス削減」
  • 地域の居場所作り   

の3点を理念に掲げて活動しています。今は最初の頃より、認知度は上がってきたものの毎月集まるスタッフ数によっては一人一人の負担が大きい時もあります。

 この活動をする中で「支援を必要とするご家庭や個人に本当に届いているのか」と振り返ってはまだまだ力不足と感じる事があります。そういったいわゆる”貧困”の方は目につきにくく、当人さえ”貧困”だと気づいていない、場合があります。役所に聞いても個人情報なので公にされることはありませんから簡単に把握することは困難です。

 現在ソーシャルワーカーとつながり、把握されている貧困家庭様へ食物を配布させていただいております。今後も、支援する他の団体や個人と繋がり、配布の幅を展開していけたらと考えております。

嬉しかったこと・やりがい

毎月回を重ねるごとにこの食堂を楽しみにして来られる方も増えてきました。

館内で食べられる方の中には

「1人で食べるのは寂しいし、たくさんの料理をみんなで食べられる場所が欲しかった」

という声や、朝食は食べずにきたこどもたちは

「おいしい、おかわりある?」

と言って調理場まで来ておかわりをねだったり、率先して下膳を手伝ってくれたり、中には3杯もおかわりをしてまた元気に遊びに行く子供もいました。

 このようにみんなで食事を気軽に食べて、笑顔になって帰っていただく、交流の場になる

この活動を始めて本当に良かった

と感じています。スタッフの私たちも利用された方々の笑顔やおかわりをする姿を見てとても元気をもらいます。

健康についてWHO(世界保健機構)は「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社外的にもすべてが満たされた状態であること」と定義しています。

こども食堂(地域食堂)でいう「貧困」には、経済的貧困だけでなく、精神的貧困も含まれ、それを満たす要因はお金では買えない、生きていく上で必要不可欠であり土台になることだと認識しております。

これからの地域食堂とりんごの樹に望むこと

食育

 活動の一環として、私は“食育”にも力を入れたいと思っています。

例えば一緒にみんなと手伝って農作業の収穫から携わり、その畑で収穫した食材を使った料理をみんなで食べる。というものです。

農家の方の宣伝や私たちが理念として掲げている「食べることは生きること」「地産地消・フードロス削減」につなげられます。

社会からはみ出た家庭や個人へ届ける

 地元で収穫される食材の中で、規格外となり廃棄される食材がたくさんあります。それらの食材はお店で売られるものと変わらず美味しくいただけるものがほとんどです。味噌汁や炒め物など、簡単な調理でも美味しくなります。

野菜が欲しい方、または廃棄に困る農家様があれば、地域食堂の開催日以外に呼びかけをして配布できたらと思っています。

安定したスタッフの確保

こども食堂を運営するにあたってスタッフの力は必要不可欠です。

参加スタッフが毎回変わってしまうと利用している方とコミュニケーションが取りにくいという問題が起こります。そして、集まったスタッフの数が少ないと参加したスタッフの負担が大きなものになってしまいます。スタッフの負担を調整しながら、安定したスタッフの人数確保が必要になります。

地域との連携

こども食堂を運営するにあたって地域の理解と協力も欠かせません。

最初、マスコミからは「貧困」「こども」というワードから報道され、今でも利用する事に抵抗を感じる方もいらっしゃいます。

本当に必要な子供に来てもらうには地域の方の密な繋がりと些細な異変に気づく目線がとても大事と感じています。

おわりに

つい先日りんごの樹さんの地域食堂にお邪魔しました。(当日の様子は栄縁インスタにて)

あいにくの大雨にもかかわらず、訪れる方々、テイクアウトの方々もいて、地域住民に親しまれていることを実感しました。

食事は本当に美味しくて、食材は食品ロスにならないよう地域から寄付されたもの、作り手は地域の方々のボランティアで行われていて、そのことを思うだけで美味しさも倍増でした。

食を通して『地域の輪』をつくる。食は様々なところで人々を支える大切なものです🌸

栄養士として働きながら、+α自分のやりたいことを一から立ち上げ、実現させている栄養士さん、今後もいろんな熱意のある栄養士・管理栄養士さんの力で、食から地域貢献が活性化できるといいなと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA